読売新聞4月4日朝刊ウーマン面で、初対面の人と仲良くなるSNSの使い方についてアドバイスしています。「第一印象を良くするには、服やグッズで自己表現」という記事です。
今年はとにかく新聞から声がかかることが多いです。主だった新聞社はすべて出ましたね。
ばら撒かれる個人情報
個人情報はどのようにして流出することが多いと思いますか?
ウイルス感染やフィッシング詐欺などもありますが、最近はSNS経由で自分でばらまいているケースが圧倒的に多くなっています。
たとえば、Twitterは匿名で使っていても、Facebookを実名でやっている場合は、あたりをつけてFacebookと照会することで、Twitterの持ち主がわかることがあります。
複数のサービスを使っていれば、年代や属性、居住地、趣味、交友関係などを使って個人を特定することは難しくありません。
そのあたりは、以下の記事で詳しく解説しています。
自分が原因の場合は、個人情報漏洩を防ぐことはそれほど難しくはありません。
SNSなどに出す情報の範囲を予め決めておき、それ以上の情報は掲載しないようにするか、公開範囲を友達限定などに制限するのです。
たとえば、
「住所の公開は都道府県レベル/区や市レベルで止め、最寄り駅は公開しない」
「自宅特定につながる自宅周囲1キロ四方の写真は掲載しない」
「勤務先/通学校の名前・写真・制服などは載せない」
「勤務先/通学先の最寄り駅は公開しない」
「子供の名前、通っている園/学校の名前は載せない」
「子どもの顔写真は載せない」
などと決めておくと安心です。
また、ウイルス感染やご送信などにも気をつけて、怪しい添付ファイルは開かない、怪しいURLはクリックしない、投稿する前に宛先を見直す、利用するアプリには気をつけるなどの配慮も必要です。
周囲にも注意をしておこう
SNSの場合、周囲によって悪気なく個人情報が公開されてしまうケースもあります。
たとえば友達の投稿内で明かされてしまったり、自分の投稿のコメント欄から漏れることも。
基本的に、SNSなどで公開してもよいと考える範囲は個人によって大きく異なるので、他人の情報に関してはなるべく公開せず、ディフェンシブにするのがお勧めです。
たとえば、他人の顔写真にはスタンプをつけたり、名前は伏せたりしておくと問題が置きづらくなります。
また、当人に会った時や写真を撮った時に、「これはSNSで公開してもいい?」と許可を取っておくといいでしょう。
勝手に公開されないためには、あらかじめ周囲に、
「写真・名前はSNSで公開しないでね」
「この話はSNSで書かないでね」
などと断っておくといいでしょう。
普段から自分が投稿する場合も、たとえば子どもの写真はかならず後ろ姿にしたり、名前をあえて「A太郎」などと明らかなニックネームにしたりすると、公開したくないという意図が周囲に伝わりやすくなります。
それでももし意図せず書かれてしまったら、
「申し訳ないけれど削除してほしい」
とお願いしましょう。
SNSは10代の間で人気ですが、最近は中高年にも利用が広がっており、ユーザー数は増え続けています。
おとな世代も、SNSを通じてつながっているのです。
おとな世代のSNS事情と問題を解説していきます。
中高年のSNS事情とは
中高年と言えば、Facebookの利用が目立ちます。Twitterの使い方はあまりよくわからないそうです。
最近はFacebookでの人間関係に疲れて、付き合いが緩いInstagramに移る女性もいるようです。
最近の中高年は精神的に若いため、かなりSNSを使いこなしています。
退職後などに、趣味が合う仲間を見つけるためにSNSを始めたり、オフ会に積極的に参加しているユーザーも少なくないという話を聞いています。
中高年ユーザーは人生経験が豊富で常識があるので、若者ほどはトラブルを起こしづらいようです。
スマホからの利用も増えているものの、スマホから写真を撮ってリアルタイムに投稿することはまずありません。一眼レフカメラで撮り、帰宅してからアップするのが若者との大きな違いです。
リアルタイム性にはこだわらず、眼の前にいる人を大切にしているのです。
基本的な詐欺に引っかかる層も
おとな世代は手紙文化世代のため、SNS文化にはあまり慣れていません。
「友だちの投稿をすべて見るので疲れた」
「コメントにはすべて返事を返して疲れた」
「コメント返しができず失礼なので退会したい」
などという人は少なくありません。
実際、友だちすべての投稿に「いいね」をしたり、長文なコメントを丁寧に書いている中高年ユーザーも見かけます。
「見られる時に見て、できる範囲で反応すればいい」というSNS文化との乖離が大きく、SNS疲れにつながってしまうようです。
また、おとな世代はセキュリティに関する情報に疎いので、フィッシング詐欺やアカウント乗っ取りなどの基本的なトラブルに引っかかる人が増えています。
自分の親世代など、インターネットやパソコン、スマートフォンに疎い人がSNSを利用し始めたときは、ぜひセキュリティ上知っておいてほしいことや危険性などについて教えてあげてください。
心配な場合は、セキュリティソフトやセキュリティ対策サービスなどについて教えたり、設定してあげるといいかもしれません。
10代は大人世代よりもハッシュタグを多用します。
ハッシュタグは、彼らが大好きなTwitter・LINE・Instagramの他、Facebookなどでも使われます。
ハッシュタグがないMixChannelなどではタグが用意されています。
10代はハッシュタグに非常に慣れているだけでなく、3つの目的を持って使いこなしています。
ハッシュタグには主に3つのパターンがあります。
検索される用、つながる用、コミュニケーション用です。
ハッシュタグの3つのパターン
3つのパターンそれぞれの使い方について解説します。
検索されるためは、Instagramが典型的です。
露出を増やし、少しでも多くの人に見てもらい、「いいね」やコメントをもらって自己承認欲求を満たしたいと考えます。
つながりたい系ハッシュタグは、「#〜な人と繋がりたい」などが典型的です。
10代は特に、他人とつながりたいというニーズを強く持っています。
Twitterでフォローしたりされたり、LINEでつながったりしたいので、共通項がある人を募集するのです。
コミュニケーション用は、「言い訳ハッシュタグ」や「#らぶりつください」「#〜な人RT」などが典型的です。
言い訳ハッシュタグは、仲間内とのコミュニケーションのため、検索は一切無視してつけるものです。
一方、「#らぶりつください」などは主に承認欲求・自己顕示欲を満たすためにつけます。
つまり、10代は承認欲求や自己顕示欲を満たし、人間関係を広げたりつながりを強くするためにSNSを使う傾向が強いのです。
SNSで「暇」「暇つぶし」と投稿しているのは10代がほとんどです。
可処分時間が余っており、まだ何者でもないため承認欲求や自己顕示欲が強いのが10代なのです。
セクスティングとは何か?
「セクスティング」とは、性的なメッセージや写真などを携帯電話・スマートフォン宛てに送ることです。
ある調査によると、ティーン男女、ヤングアダルト男女の2〜3割が「経験あり」と回答しており、中には「インターネット上でのみ知っている相手に送信した」と答えています。
恋人に請われて断れずに送ってしまう子も多く、後で後悔している例は少なくないようです。
フェアな人間関係を築くためには、嫌なことは断ったり自分の気持ちを正しく伝えることも大切ですが、まだそのようなことができない子が多いのです。
インターネット上で出会いを求め、相手に褒められて嬉しくなって送ってしまう例もあります。
好奇心や安易な自己承認欲求、自己顕示欲などからこのような行動に走ってしまっているというわけです。
近年の小学生などが「自画撮り被害」に遭っている例も、ほぼ同じ理由からです。
送った結果、別れた後に元恋人にインターネット上に写真を公開されてしまうリベンジポルノ被害や、「友人に写真をばらまく」と脅迫される被害も起きています。
撮らない・信用している相手にも送らないが大切
裸の写真などを送る時は、相手のことを信用しているはずです。しかし、関係性は変わることがあります。
いくら信用している相手にも、自分が不利益を被るような写真などは撮らない・送らないことが大切です。
また故意にではなくても、端末を落としてしまったり、ウイルスなどに感染して写真が流出した例もあります。
ハリウッド女優がiCloud上にアップロードしていたセルフヌード写真が流出した事件もあります。これは、フィッシング詐欺によるものと報道されました。
このような不本意な被害を避けるためには、そもそも撮らない・送信しないしか方法はありません。
裸の写真が流出して引きこもりになった女性もいます。
特に若い世代にはこの危険性を伝えてあげてください。
10代と大人世代は断絶している
大人に「子供(10代)のことがわからないから教えてほしい」と言われることが多い。
保護者・教員からは理解できないけれど守りたい存在を守るために。
企業からは未来の消費者を少しでも理解するために。
私は、取材を通して知った彼らのことを、記事や講演、メディアで伝えている。
なぜ10代を知りたいということがニーズとなるのか。
それは、10代の文化と大人の文化が断絶しており、連続性がないためだろう。
スマホ・SNS世代と大人世代は生きているところがまったく異なり、文化的交流がほとんどないのだ。
10代はSNSでも大人がいないところに向かうので、同じ土壌でコミュニケーションできる瞬間があまりない。利用アプリやサービスから異なることが多いのだ。
なお、私の10代系の連載で一番古い「10代のネット利用を追う」はもう連載10年目となる。
その頃の10代は携帯電話文化の中で暮らしており、パソコンから見ることが難しいのでやはり大人との断絶は深かった。
コミュニケーションはツールで変わる
コミュニケーションはコミュニケーションツールによるところが大きい。
大人世代でも、パソコン世代と手紙・固定電話世代は、まったく常識が異なることを感じたことはないだろうか。
まして、スマートフォンネイティブ、ソーシャルメディアネイティブはまったく感覚も常識も異なっている。
スマートフォンはいつでもどこでもネットにアクセスでき、SNSと親和性が高いのでSNSの利用度が高くなる。
また、カメラがついているので、写真や動画に対して非常に親しんでおり、抵抗がない。
同時に、ソーシャルメディアによっていつでもどこでも友だちや知らない人とつながっているので、交流も大きく変化している。
四六時中他人からの評価にさらされているので、いつも他人の目を意識して生活している。
ソーシャルメディア上での自分の見せ方がうまくなると同時に、見られること前提の行動をする。
文章による自己表現から、写真・動画による自己表現に完全に移行している。
知らない人と接することが当たり前となり、知らない人と会うことに抵抗がない。
今も昔も変わらない10代の心
しかし、取材を通して感じるのは、ツールの使い方や行動は大きく異るものの、感じ方はむしろそれほど違わないということだ。
たとえば勉強垢を見れば、夢を持って努力していることは変わらないことがわかる。
裏垢を見れば、いつの時代でも10代の悩みはそれほど変わらないことがわかる。
使い方や行動の裏側には必ず理由がある。それも、彼らにとっては正当な理由だ。
そういう目で10代の子どもたちを見るようにすることで、きっと保護者や企業も10代の子供たちのことを理解できるようになるのではと考えている。
もっとうまく橋渡しをできるようになりたいと考えている。