高橋暁子のソーシャルメディア教室

ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授高橋暁子のブログ。ソーシャルメディア界隈のこと、IT関連ニュースのこと等をメインに取り上げます。

企業ソーシャルメディア運用の成功・失敗を分ける3つのポイント

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企業がソーシャルメディアアカウントを運用する際に気をつけたい3つのポイントについてまとめました。

 

①苦情や批判に対しても真摯に応える

2012年の宣伝会議の「企業の公式TwitterFacebookページの印象に関する調査」 によると、Facebookページにユーザーが前向きのコメントをした時に企業の79.0%は「いいね!」やコメントなどをしており、そのことは好意的にとらえられています。

一方、苦情コメントに対して企業がコメントをする割合は67.0%と、割合が減っていました。ところが、苦情に企業の返信がないことに対して65.3%が悪い印象を持つといいます。

つまり、好意的なことはもちろん、苦情や批判など都合が悪いことに対しても、真摯に応えることがベターということになります。

店舗等でも、顧客から話しかけられたら応えるのが当然です。「無視」が一番失礼なことなのです。

 

②宣伝ではなく「お得情報」を投稿する

企業がソーシャルメディアのアカウントを運営している一番の目的は、言うまでもなく自社商品やサービスを買ってもらいたいということ。しかし、これを前面に出しすぎると、ソーシャルメディア運用は失敗します。 

同調査でも、企業の8割が商品・サービスを直接的に宣伝するツイートや投稿を行っていますが、それを好意的にとらえているユーザーは3割に止まっています。

一方、「キャンペーンやクーポンなど、お得な情報のツイート・投稿」に関しては、半数以上のユーザーが「好印象」 ととらえています。

つまり、直接宣伝せず、ユーザーが得する情報を中心に投稿すべきということが分かります。

 

ユーザーは、最初から購入する気持ちでソーシャルメディアを使っているわけではありません。基本は友人と交流する場であり、企業はそこに入れてもらっている状態です。

ユーザーは、「お得情報を求めて企業等のソーシャルメディアアカウントやページをフォロー、いいね!する」というデータがあります。

友人の投稿は「友人」というだけで価値を持ちます。企業の投稿も友人たちの投稿と並んで表示されます。つまり、企業はそれ以上の付加価値を提供できなければいけないのです。

 

③アクティブサポートは積極的に行う

「 アクティブサポート」をご存じでしょうか。自社や自社商品・サービスなどでエゴサーチして、投稿しているユーザーに対して企業が働きかけることを指します。

同調査によると、ポジティブな投稿を検索し、そのユーザーに話しかけている企業は26.0%であり、6割の企業が「実施していない」と回答。一方、ユーザーのネガティブな投稿に対しては、「実施している」が15%「実施していない」が68%と、消極的な傾向にあります。

しかし、ポジティブな投稿に対するアクティブサポートは52.7%、ネガティブな投稿に対するアクティブサポートは45.3%が「良い印象を受ける」という回答が得られています。逆に、アクティブサポートを実施する企業アカウントに対して「悪い印象を受ける」は1割未満でした。

つまり、ポジティブでもネガティブでも、ユーザーの投稿に対しては積極的に反応していくアクティブサポートが有効ということが分かります。

 

①と②は基本中の基本なので、今すぐ実施しましょう。

しかし、③のアクティブサポートは手間暇がかかり、なかなか難しいものです。

 

アクティブサポートの行い方

そこで参考になるのが、ソフトバンク社のカスタマーサポートアカウント「@SBcare」です。運用が素晴らしくて、私も自分のツイートに対して返答いただいたことがあります。

こちらは、2011年2月時点でサポート体制が常時10名、毎日500件のツイートを行っています。大企業なのでこのようなことになっていますが、一般の企業ならここまではユーザーの反応が多くないので、個別に対応することは十分に可能なはずです。

 

ソーシャルメディア上での対応は人間性を出すことが大切なため、 サポート窓口の担当者を明らかにしています。中小企業の場合は特に、できるだけ顔と名前を出すことで、信頼性と親しみが増す効果が期待できるでしょう。

 

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こちらは、運用ガイドラインを決めてしっかりと対応を行っています。特に対応する人数が増えれば増えるほど、ガイドラインを決めておくことで安定した対応が維持できるでしょう。

たとえば同社ではこのようになっています。

  • 1日のはじまりは「おはようございます」のあいさつツイートから始める。
  • 個人情報の取得はTwitter上では基本、行わない。正確な解答のために「お客さまの契約状況を確認する必要がある」と判断した場合は専用のEメールフォームを誘導する。(ミス等による情報リスクを避けるため、お客さまの強い要望がない限りDMでのやり取りは避ける。)
  • Eメールを受け取り回答するのもSBCareスタッフ。必要であれば架電対応も行う。(入り口はTwitterだが、その後のサポート方法はこだわらない。チャネルは複数だが、チームはひとつ)
  • サポート回答前は、必ず専用ツールで過去に対応した事があるかどうか履歴の確認を行い、その内容に応じて回答する。
  • お問合せ前後のツイート内容も確認し、流れをつかんだ上で対応を行う。
  • 情報発信(FAQ/小ネタ)は、利用者TLが発信ツイートで埋まってしまわないように、1日あたりのツイート数を決めて発信している。(以上引用)

その他、こちらの記事が詳しくとても参考になります。

http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2011/02/sbcare-0083.html

 

企業がソーシャルメディア運用することはなかなか敷居が高いものですが、ぜひポイントを押さえて始めてみてください!

 

 

http://www.advertimes.com/20120515/article66836/

http://www.advertimes.com/20120516/article67175/

http://www.advertimes.com/20120517/article67453/

 

 とても勉強になります。