子どものソーシャルゲーム高額課金問題はまだ終わってはいません。
ソーシャルゲームで高額課金する理由は男女でも違い、使いすぎてしまうような仕組みになっているために使いすぎている面があります。
若年齢層ほど高いSNS利用率
まずは、 10代のSNS利用率を見ていきましょう。
総務省の「次世代ICT社会の実現がもたらす可能性に関する調査」(平成23年)によると、若年齢層ほどSNS利用率が高くなっています。
また、Z会調べ(2013年4月)によると、10代の子どもが利用するSNSは、LINEが67.2%と圧倒的で、23.2%のTwitterと続きます。このほか、GREE、Mobage、Ameba、ハンゲーム等のゲーム系サイトでもコミュニケーションをするところもポイントです。
男=ゲーム、女子=コミュニケーション
ジャストシステム「第一回スマートフォンゲーム利用状況調査」(2013年5月)によると、15~19歳の各プラットフォームにおけるゲーム利用率は以下のようになっていました。
GREE:男21.0%、女18.0%
Mobage:男28.0%、女19.0%
Ameba:男9.0%、女17.0%
mixi:男6.0%、女5.0%
コロプラ:男1.0%、女2.0%
mobcast:男2.0%、女1.0%
LINE POP:男14.0%、女27.0%
つまり、GREEやMobage等のゲーム中心のサイトのゲームは男子の利用率が高く、AmebaやLINE等のコミュニケーションを中心に据えたゲームは女子の利用率が高くなっています。
つまり、男子はゲームを、女子はコミュニケーションを中心に動いていることが分かります。
ちなみに、アバターは最初、こんな下着?と裸足というようなかなり寂しい格好をしています。GREEやMobageでゲーム・コミュニケーションをする時に必ず表示されるアバターがこんな格好をしていては、みっともない、格好悪いと感じるのは当然ではないでしょうか。
減らない高額課金問題
コンプガチャ問題で、ゲーム会社は軒並み未成年の課金金額に上限を設けました。GREEは15歳未満は月額5000円、16~19歳は月額10000円まで。Mobageは15歳未満は月額5000円、18歳未満は月額10000円までといった具合です。
ところが、実際は国民生活センター調べによると、未成年によるオンラインゲームによる課金相談、課金金額共に増えています。
ちなみに、2011年度のMobageとZyngaのARPU(Average Revenue Per User。加入者1人当たりの月間売上高)を比較すると、その差は約18倍!ソーシャルゲームがどれだけ儲かるかが分かりますね。
※画像はこちらからお借りしました(MobageのARPUはZyngaの18倍――DeNAの決算発表から | TechCrunch Japan)
課金してしまう驚きの心理とは
ここから、課金してしまう心理について見ていきましょう。課金する心理については多くの人が知りたいと思い、様々な調査がなされています。
ネオマーケティング調べ(2012年5月)によると、「イベントをクリアしたい」(45.3%)という理由と並んで、「小額だから」が32.4%と多くなっています。
一回は数百円程度と安いことがついつい課金してしまう理由となっています。安いので気軽に始めてしまい、止められなくなって結果的に高額課金になる…というわけです。
また、エンターブレイン「SNSアプリユーザー行動心理レポート」(2012年4月)によれば、男性はステータスアップアイテム、女性はアバターアイテムに課金する傾向にあります。つまり、男性はゲームでの強さ、女性はコミュニケーションにおける自分を飾り立てる部分に課金するのです。ここでも、男子=ゲーム、女子=コミュニケーションという傾向は変わりません。
その他にも、課金システム自体がお金を使っている実感に乏しい作りになっていることも影響しています(実際に財布を出したりしないのでお金が出ている実感に乏しい)。
つまり、
◎一回の単価が安く、初回は無料でできるので心理的抵抗が少ない
◎パスワードを入力するだけで手に入るので心理的抵抗が少ない
◎お金を支払う→仮想コイン入手、仮想コイン→仮想アイテム入手と、お金を使ってからアイテムを購入するまでに時間的感覚が空いており、お金を使った実感に乏しい(クレジットカード支払いのようなものと考えれば分かりやすいでしょう)
◎「期間限定」「時間限定」により、希少性の心理を感じて欲求が増す
◎他のプレイヤーに頼られると承認欲求が満たされる
◎課金対象がアイテムとして見えるため納得感が出やすい(ただパワーが回復するだけではなくパワー回復の種などが手に入る)
◎やっていない時にも気になる時間の経過が必要なアイテムがある
…などの理由により、お金を使いすぎてしまうわけなのです。
さらにガチャは、サンクコスト効果(既に支払ってしまって取り戻せない費用・時間・労力)によって「今やめると損をしてしまう」「もうすぐ出るはず」と感じてしまい、やめられなくなってしまうという面もあります。
課金しすぎないために
以上のように、ソーシャルゲームは誰もが陥る心理を用いたシステムを使っており、そもそも子どもでは自制するのは難しいものです。実際、成人でも使いすぎてしまっている人は大勢います。
使いすぎてしまう心理とリスクを理解し、うまく付き合っていくことが重要となるでしょう。
そのためには、周囲の保護者などの大人が利用を見守ることも重要になります。
高額課金は子どもだけが悪いのではありません。
ぜひ、一緒に考えて使ってみていただきたいと思います。