高橋暁子のソーシャルメディア教室

ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授高橋暁子のブログ。ソーシャルメディア界隈のこと、IT関連ニュースのこと等をメインに取り上げます。

Facebookが「Paper」でニュースアプリを始める理由

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Facebookが米国でニュースアプリ「Paper」をリリースします。

 

Facebook、ネット時代の「新聞」を目指して「Paper」をリリース。新しいスタイルで「ストーリー」を提供 | TechCrunch Japan

 

「Paper」は、Facebook内で身軽なスタートアップのように活動する小規模グループ「Facebook Creative Labs」発の初のアプリ。なお同ラボは、Facebookがモバイルで主導権を握ることを目的として、各種単機能アプリケーションをリリースしていく予定とか。

 

ニュースアプリは数あれど…

ニュースアプリは乱立した状態です。

Smart News」や「NewsPicks」、「Vingow」、「Antenna」…

 

アプリは、一般的にダウンロードさせるよりログイン・利用させ続けることの方が難しいものです。

Pinch Media調査によると、無料アプリはダウンロードした日以降にそのアプリケーションを利用する率はわずか約20%。30日経過後には、5%未満しか利用していません。有料アプリついてはさらに利用率が減ります。

だからこそ、アプリは(友達が使っているというソーシャル要素、時間が経つと体力が復活するソーシャルゲームなど)様々な仕掛けて再ログインさせる仕掛けに躍起になっているわけです。

 

Pinch Mediaの調査によると、iPhoneアプリケーションの平均「賞味期間」は30日未満 | TechCrunch Japan

 

ところが、ニュースは最初から多くのユーザーが読みたい欲求があるため、元々ログイン・利用するモチベーションがあります。それどころか、気に入ったら自分から連日常習的に利用してくれる可能性さえあります。

ニュースは毎日どんどん生まれてくるため、コンテンツに困ることもありません

(ただし、それだけあるとレッドオーシャン。選ばれるにはユーザーに合わせた高いニュースの選別力がなければなりませんが…)  

 

昨年もLINEが「LINE NEWS」をリリースしたばかりです。これも、ニュースアプリなら常習的に利用してくれ、ブランドに対するエンゲージメントを高める効果が期待できるからです。

mixiも「mixiニュース」を出していました。これはmixi自体のPVを上げ、ユーザーに共通の話題を提供する効果がありました。

 「Paper」も、Facebookブランドのアプリを連日使い続けてくれれば、Facebookブランドへのエンゲージメントを高める効果が期待できます。Facebookは、モバイルでのニュースというプラットフォームを、自社で確保しようと考えているのです。

 

Facebookは成長が続いています。しかし今の時代、このように常に速いスピードで変化していかないと、あっという間に追い抜かれるという危機感を抱いているのでしょう。 

ソーシャルメディア界の巨人 Facebook、なお続く成長--毎日7.57億人が利用 - インターネットコム

 

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Twitterはニュースはやっていませんが、Twitter自体がRSS的に働いていてそれ自体ニュースアプリ的なので、要らないのでしょう。

ただデマも飛び交い、ニュースの真偽が確かめづらいため、信頼できる速報を通知する報道向けサービス「Dataminr for News」を始めています。

各社はそれぞれの形で、「ニュース」というプラットフォームの確保に走っているのです。