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高橋暁子のソーシャルメディア教室

ITジャーナリスト高橋暁子のブログ。ソーシャルメディア界隈のこと、IT関連ニュースのこと等をメインに取り上げます。

Google「忘れられる権利」早わかり&日本からは削除申請できるか?

Google

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Googleに「忘れられる権利」として個人情報削除申請フォームが誕生しています。

「忘れられる権利」とはどんなもので、なぜ今話題となっており、日本では申請できるのでしょうか。問題はないのでしょうか。

忘れられる権利とは?

「忘れられる権利」とは、ネット上に残る過去のプライバシー情報削除を要請できる権利のことです。

これまで、一度インターネット上に不都合なプライバシー情報が載ってしまった場合、残り続けることを受け入れるしかありませんでした。ところが、この情報を削除できる可能性が出てきたのです。

なぜ削除要請できるようになったのか?

削除要請できるようになった背景には、ある個人が起こした判決があります。

元々は、マリオ・コステハ・ゴンザレスさんが社会保障費の滞納により自宅が競売にかけられ、労働社会問題省による公告が1998年1月19日付けのスペインの新聞に掲載されたことが発端でした。

ゴンザレスさんが自分の名前で検索すると、所有者として奥さんと連名で、約20年も前の該当する不名誉な内容の記事が見つかる状態となっていました。すべては決着し債務も完済、奥さんとは既に離婚しているのに…です。

 

ゴンザレスさんは記事とGoogleの検索結果を求めて、スペインの「データ保護庁(AEPD)」に申し立て。データ保護庁は記事は適法としたものの、Googleへの削除要請は認めました。

これを不服としたGoogleは「全国管区裁判所」に上告。ところが司法裁判所は、1995年に制定された「EU個人データ保護指令」に基づき、削除は認められるとの先行判決を出したというわけです。

 

EUは「EUデータ保護指令」は1995年に、法的拘束力を持つ「EUデータ保護規則」は2012年1月に提案していました。実効性は乏しかったものの、忘れられる権利は既にここで明文化されていたというわけです。

この判決により、Googleは要請に従って既に削除を始めています。書き込みを削除したい人にとっては嬉しいことですが、これにはある問題も含まれています。

削除要請されているものは犯罪絡みばかり 

誤った書き込みが削除されることには、どんな問題があるのでしょうか。

FINANCIAL TIMESの記事を見ると、 5月19日までの英国・アイルランドによる削除要請は、「詐欺行為」31%、「逮捕・暴力行為による有罪判決・重大犯罪」20%、「チャイルドポルノに関する逮捕」12%、「政府・警察」5%、「有名人」2%。つまり、何と6割以上の63%が過去の犯罪歴をネット上から消してほしいという要請でした。

 

詐欺行為についての情報を消して詐欺師が再び詐欺を働く…などの例が起こりうることを考えると、このような情報が消されていることは、今後、我々に大きな不利益を引き起こす可能性があるでしょう。

また、Google一社が削除の可否を決定しているため、Googleの基準次第で我々が受け取れる情報の内容が大きく左右する可能性が高くなります。これも大きな問題だと考えます。

 

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知る権利VS忘れられる権利

同法が明文化されているにも係わらず実効性には乏しかったのは、IT業界からの反対が強かったためでもあります。ところが「忘れられる権利」の判決が出たため、Googleもこれに対応するようになったのです。

そもそも「知る権利」と「忘れられる権利」はぶつかるものです。前述のような問題も出てきているため、「知る権利」と「忘れられる権利」のぶつかり合いは、まだまだ続きそうです。 

 

日本からは削除要請できるのか?

元となる根拠がEUの法律であったため、現在の削除要請はEU諸国からに限っており、米国を含むアジア各国は対象外です。日本まで適用されるかは不明の状態です。

 

しかし、この話とは違いますが、同様に「過去が消せる」ようになった例もあります。米国カリフォルニア州でも「消去ボタン」法が定められています。

若者が若気の至りで愚かなことをネット上に書き込んでしまう例は、Twitter炎上など多くの場で見ることができます。そのような、若気のいたりで書き込んでしまった自分の投稿を削除できるボタンを設置する義務が法で定められたのです。 

あくまで自分の投稿のみが対象ですが、多くの若者にとってはとてもありがたい機能でしょう。

 

「ネット上の黒歴史」を消去できるボタン義務付け:米カリフォルニア州

 

日本でも若者向けにこのようなものがあったら…と思わずにはいられません。

なお、Googleの忘れられる権利が日本にも適応された場合は、こちらの通りに申請することで削除されるようになるはずです。

 

Googleに「忘れられる権利」を申請し個人情報を削除するフォームの使い方 - GIGAZINE

 

これはあくまで「Googleから見つけられない権利」であり、元データが削除なくなるわけではありません。けれど、世界中の検索エンジンの大半はGoogleが握っています。Googleから見つけられない、即ちないも同然の状態になると言えるのです。

 

Googleの忘れられる権利が日本にも適応される日がくる可能性はあります。

しかし、まず我々ができることは、他人に見つけられて困るような情報は出さないように心がけることです。

どのような情報を出してはいけないのか?は、こちらの連載でも述べていますので、ぜひ参考にしてくださいね。

「ソーシャル新人類」の不夜城〜10代は何を考えているのか - 「ソーシャル新人類」の不夜城〜10代は何を考...:ITpro

 

 

EUの裁判所がGoogleの検索結果から特定の個人情報へのリンクを削除せよと裁定 | TechCrunch Japan

Google検索に個人情報リンク削除リクエストが殺到, EU司法裁判所は藪をつついて巨大怪獣を出した | TechCrunch Japan

「忘れられる権利」とグーグル:プライバシーは誰が守るのか | 平 和博

米グーグル、「忘れられる権利」対応 要請受け削除開始:朝日新聞デジタル