高橋暁子のソーシャルメディア教室

ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授高橋暁子のブログ。ソーシャルメディア界隈のこと、IT関連ニュースのこと等をメインに取り上げます。

スマホネイティブ・SNSネイティブということ

f:id:aki-akatsuki:20170324162205j:plain

 

10代と大人世代は断絶している

大人に「子供(10代)のことがわからないから教えてほしい」と言われることが多い。
保護者・教員からは理解できないけれど守りたい存在を守るために。
企業からは未来の消費者を少しでも理解するために。
私は、取材を通して知った彼らのことを、記事や講演、メディアで伝えている。

なぜ10代を知りたいということがニーズとなるのか。
それは、10代の文化と大人の文化が断絶しており、連続性がないためだろう。
スマホSNS世代と大人世代は生きているところがまったく異なり、文化的交流がほとんどないのだ。


10代はSNSでも大人がいないところに向かうので、同じ土壌でコミュニケーションできる瞬間があまりない。利用アプリやサービスから異なることが多いのだ。

なお、私の10代系の連載で一番古い「10代のネット利用を追う」はもう連載10年目となる。

その頃の10代は携帯電話文化の中で暮らしており、パソコンから見ることが難しいのでやはり大人との断絶は深かった。

 


コミュニケーションはツールで変わる

コミュニケーションはコミュニケーションツールによるところが大きい。
大人世代でも、パソコン世代と手紙・固定電話世代は、まったく常識が異なることを感じたことはないだろうか。
まして、スマートフォンネイティブ、ソーシャルメディアネイティブはまったく感覚も常識も異なっている。

スマートフォンはいつでもどこでもネットにアクセスでき、SNSと親和性が高いのでSNSの利用度が高くなる。
また、カメラがついているので、写真や動画に対して非常に親しんでおり、抵抗がない。

同時に、ソーシャルメディアによっていつでもどこでも友だちや知らない人とつながっているので、交流も大きく変化している。
四六時中他人からの評価にさらされているので、いつも他人の目を意識して生活している。
ソーシャルメディア上での自分の見せ方がうまくなると同時に、見られること前提の行動をする。
文章による自己表現から、写真・動画による自己表現に完全に移行している。
知らない人と接することが当たり前となり、知らない人と会うことに抵抗がない。


今も昔も変わらない10代の心

しかし、取材を通して感じるのは、ツールの使い方や行動は大きく異るものの、感じ方はむしろそれほど違わないということだ。
たとえば勉強垢を見れば、夢を持って努力していることは変わらないことがわかる。
裏垢を見れば、いつの時代でも10代の悩みはそれほど変わらないことがわかる。

使い方や行動の裏側には必ず理由がある。それも、彼らにとっては正当な理由だ。
そういう目で10代の子どもたちを見るようにすることで、きっと保護者や企業も10代の子供たちのことを理解できるようになるのではと考えている。
もっとうまく橋渡しをできるようになりたいと考えている。