高橋暁子のソーシャルメディア教室

ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授高橋暁子のブログ。ソーシャルメディア界隈のこと、IT関連ニュースのこと等をメインに取り上げます。

Facebookの衰退はザッカーバーグの理想が10代の現実に負けること

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Facebookは衰退したと言われています。

10代からFacebook離れを起こしており、次第により簡単でリアルタイムなメッセンジャーアプリ(snapchatなど)に移行しつつあります。

 

Facebookは長期蓄積型であり、「今」が大切な10代にはきつい仕組みです。

また、実名制で一人一アカウントのため、友達・恋人・両親・教師・上司・同僚などすべての人間関係と同じフィールドで付き合うことを強いられることも、10代がFacebookを避ける理由となりました。

「コミュニケーションを素早く簡単にその場だけで」

「親や教師に見られないところで友達とコミュニケーションしたい」

という思いから、ティーンはInstagramに移り、またsnapchatにきました。

 

2種類のアイデンティティーを持つこと、それどころか関係性において顔を使い分けるのはどんな人でも日常的に行っていることです。なのになぜ、Facebookはこのような仕組みを取り続けているのでしょうか。

実はこれは、『フェイスブック若き天才の野望』によると、マーク・ザッカーバーグの信念から始まったものです。

 「アイデンティティーは一つだけ」

 

 

仕事用と楽しむ用のプロフィールを両方用意すべきだという意見は、Facebook開始当初からありました。

それに対してザッカーバーグは、

「仕事上の友だちや同僚と、それ以外の知り合いとで異なるイメージを見せる時代は、もうすぐ終わる。

2種類のアイデンティティーを持つことは、不誠実さの見本だ。

現代社会の透明性は、ひとりがふたつのアイデンティティーを持つことを許さない」。

と言っています。

 

確かに、現代社会は透明で、ひとりがいくつかのアイデンティティーを持っていても、検索したり照らし合わせることで、個人は簡単に特定できてしまいます

あらゆる関係性に対して一つの顔で付き合っていけるのか?についてはまだ結論が出てはいませんが、若干厳しそうに見えます。

 

ザッカーバーグの理想が今のFacebookの基本を作っています。

ハーバード大出身の若者の理想が通るのか、それとも現代の若者たちの現実に負けてしまうのか?

Facebookにとって厳しい闘いとなりそうですが、この後どうなるのでしょうか。