高橋暁子のソーシャルメディア教室

ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授高橋暁子のブログ。ソーシャルメディア界隈のこと、IT関連ニュースのこと等をメインに取り上げます。

Instagramで「言い訳ハッシュタグ」が人気の理由

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Instagramハッシュタグ(「#桜」「#ランチ」など”#”と単語からなるもの)は、基本的に検索のために利用します。

Instagramには検索機能が非常に乏しいので、このハッシュタグをつけることで検索され、他のユーザーの目に止まるようになります。

ハッシュタグは、撮影したもの、気分、ニーズ、季節など、写真に情報を付け加えたり、「#わんこ好き」のように同じ嗜好のユーザー同士がつながるコミュニティ要素も果たしています。

ハッシュタグ以外にも説明文がつけられるので、そちらで写真の説明をすることもあります。

 

言い訳ハッシュタグとは?

 

ところが、「言い訳ハッシュタグ」は違います。

言い訳ハッシュタグとは、けして検索向きとは思えないような、話し言葉で成り立つものがほとんど。オチ的な役割を果たすことが多いようです。

たとえば、

「#また手紙投函し忘れた」「#最近忘れ物多すぎる」「#明日は気をつける」

のように説明文的に投稿写真に情報を加えたりします。

お洒落なランチ写真に、

「#美味しかった」「#でも金欠」「#おまけにぼっち飯」

などのようにつけることもあります。

芸能人などが使い始め、10代,20代の若いユーザーなどを中心に多く使われています。

 

リア充写真と言い訳ハッシュタグでバランス

 

Instagramと言えば、いわゆるリア充写真(リア充=リアルな生活が充実している人)を投稿する場です。

きれいだったりかっこよかったり、ファッション誌から飛び出したような写真ばかりが並びます。

リア充自慢したいからこそInstagramでかっこい写真を投稿してはいるのですが、彼女たちは周囲の人に嫌われることも避けたいと考えています。

そこでバランスをとるために、オチになるような言い訳をハッシュタグでつけるのです。

 

ハッシュタグは、いわば説明文の中でおまけ的位置を占めます。

つまり、ハッシュタグでつけると、独り言や追記のように見えるのです。

説明文に長々と書くよりも受け入れられやすい面があるようです。

つまり、リア充に見てもらいたい一方、周囲の人に嫌われたくないからこそ、彼女たちはInstagramで言い訳ハッシュタグを使っているのです。

 

 

なぜ女子高生は過剰に自撮り(セルフィー)するのか

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女子高生のアカウントを見ていると、自撮り写真が頻繁にあげられています。
実際、女子高生たちは非常に自撮りに慣れており、自分が可愛らしく見える角度を熟知しています。

慣れていない子は、家で一人で可愛く撮れるまで何回も撮り直して練習します。
「多いときは百回くらい撮り直す」と言います。
撮影した自撮り写真は、LINE、InstagramTwitterなどに投稿します。

食べるものは食べたいかどうかではなく、インスタジェニック(写真映えする)かどうかで決めます。
遊びに行く場所も同様です。デートもまず写真の撮影が最優先です。

なぜ女子高生たちは、そこまでして自撮りをするのでしょうか。

 


他人に認められたい女子高生

誰もがSNSを使っている時代であり、彼女たちは常に他人の目や評価にさらされています。

 


女性はルックスが重視されるため、可愛らしく撮ることで自己評価を高める効果があります。

彼女たちにとっては、撮影した写真こそが自分自身なのです。

 

楽しそうで素敵な写真を投稿することで、他人に羨ましがられ、多くの反応がもらえることも大切です。
それは、幸せを再確認する行為でもあります。


また、恋人や仲良しと撮影することで、周囲に親しいことを示す意味もあります。


女子高生なら誰もがやっている行為でもあり、自分だけやらないと浮いてしまうという面もあります。

最近は、SNOWなどで加工することによって、自撮り写真を投稿する心理的抵抗が減ってもいます。

盛った自撮り写真でやりとりして、その場の盛り上がりを楽しんだりもします。

 


リアルな生活で承認欲求が満たされることが大切

 

適切な範囲で自撮り(セルフィー)を楽しむのは、必ずしも悪いことではありません。自尊心を高める他、SNOWなどコミュニケーションに役立つ面もあります。


しかし、SNSで少しでも多くの反応がほしいため、自撮りが過激化している傾向があります。


女性全般に、顔を出したり露出を大きくすることで、周囲からの反応は良くなります。それ故、暴走して露出を増やす子もいます。

また、危険な場所で撮影するなど、驚くような写真を撮ることで注目を浴び、多くの反応がほしいと考える子もいます。
海外では、危険なセルフィーによって死亡事故が増えています。

また、プライバシーが漏れすぎてしまい、危険にさらされることもあります。

そこにはSNS内で承認がほしいという承認欲求があります。
しかし、SNS内だけでいくら承認を得ても、あまり意味はありません。
実生活で十分な承認が得られるよう、正しい努力をすべきでしょう。

 

高校生はなぜ共同垢、カップル垢を運用するのか?

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「共同垢」というものをご存知でしょうか。
TwitterやMixChannelなどのアカウントを、ID・パスワードを共有して共同で運用することです。
Facebookでは一人一アカウントという規約があるのでできませんが、Twitterなどなら可能なのです。

部活動などで複数人で共有する場合もありますが、目立つのは友達同士や恋人同士などで運用する例です。
特に、カップルで運用する共同垢は「カップル垢」とも呼ばれます。

LINEでは二人で一つの絵となる「ペア画」を使用している例が多いようですが、Twitterなどでは違います。
もっと堂々と付き合っている宣言をしているのです。

二人の付き合った記録のカップル垢

運用の仕方は、先程ご紹介したとおりITとパスワードを共有し、カップルの場合は、
「ゆりです。今日は待ちに待ったデートでしたー!」
などと、名乗ってから書きます。

アカウント名は、「カップル垢 ゆり(ハート)こーた」などとなっています。
プロフィール欄には「ゆり(ハート)こーた since〜」といつからカップルなのかを明記します。
アイコン写真やカバー写真にも二人のラブラブ写真が使われます。
また、投稿する内容は、お互いへのラブラブなメッセージやデートの内容などです。
カップル垢同士でフォローし合い、お互いに応援し合うことが多いのです。
そして、
「付き合って3ヶ月記念♪」
などと、付き合った記念として毎月お祝いをするのです。

カップル垢はカップルの記録であり、ライバルたちへの牽制でもあります。
ラブラブな自分たちを周囲に示して、「彼氏に手を出さないで」と牽制する意味が込められているのです。

別れると、多くの場合がプロフィール写真を真っ黒に変え、アカウント名を「別れました」などとします。
「別れました」などでTwitterを検索すると多数見つかります。

同調圧力での利用は注意

共同垢を運用する背景には、様々な理由があります。

10代ではおよそ半数が、恋人との写真をSNSに投稿しているという調査結果があります。

中でも、
「みんながやっているから」
「友だちに(彼女に)やろうと言われたから」
というケースが多いでしょう。
しかし、やりたくないのに同調圧力でやってしまうのはあまりお勧めできません。
別れた後に好き放題書かれてしまったり、リベンジポルノなどにつながる例もあるからです。

多くの高校生がやっているものの、トラブルにつながりがちなので、利用には注意が必要でしょう。

 

SNOWなど「エフェメラル系SNS」が10代に人気な理由

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SNOWやSnapchatなど、一定時間で画像やメッセージが消える「消える系(エフェメラル系)」SNSが10代を中心に人気です。

この人気から、InstagramやLINEでも一定時間で投稿が消える機能が追加されています。

なぜエフェメラル系SNSが人気になったのでしょうか?

 

大人と同じSNSは使いたくない10代

 

元々、10代は自分たちだけの空間を作りたがります。

保護者や教員など周囲の大人に見られて、自分たちの関係ややりとりに口を出されたくないと考えます。

それ故米国でも、古くはMySpaceなどにこぞって若者が向かった時代があります。

Facebook、Snapchat、Instagramなどと若者は移っていきました。

 

大人が使い始めると、「ダサい」と考え、子どもたちは次のサービスに移るのです。

それ故、10代はアーリーアダプター的に流行る前のサービスを使うことになるのです。

 

これは日本でも同様です。

現在の10代のFacebook離れも、大人がこぞって使っているというのが大きな理由でしょう。

「大人が使っていない」「自分たちだけの自由にできる空間」というのが、彼らがエフェメラル系SNSを利用している理由の一つなのです。

 

炎上しないSNS=エフェメラル系SNS

 

背景には、「 炎上」が騒ぎになり、社会問題化したことも影響しています。

若者たちも、FacebookなどのSNSに書いたことで炎上騒ぎになるリスクを感じるようになりました。

そこで、メッセージが消える=炎上しないと考えて、エフェメラル系がもてはやされるようになったのです。

 

その場限りのやりとりなので、思い切った変顔なども送れて楽しいと考えたユーザーは多数いました。

ヌードなどのきわどい写真を送ってしまう、いわゆる「セクスティング」に利用するユーザーもいたくらいです。

 

しかし実際は完全に消えるわけではなく、画面キャプチャが撮れます。

それが分かっていなくて、ヌード写真などを流出させられるなどのリベンジポルノトラブルになる例も見られました。

Snapchatなどのアプリの注意書きにもその点(Snapchatユーザーは、スクリーンショットを撮ったり、カメラを使ったりして、いつでもあなたのメッセージをキャプチャまたは保存できます。よく考えてから何をスナップするかを決めましょう。)が後から追加されています。

 

仲間には見せたい若者たち

 

元々は「消える」ことが重視されていましたが、最近はSNOWもSnapchatも画像加工アプリとして使われることがほとんどです。

せっかく可愛く、或いは面白く加工できたので、他の人に見てもらいたい。

そう考えて、InstagramやLINE、Twitterに画像を転載するユーザーが多いのです。

そこでは「消える」ことは無関係です。

むしろ消えてしまうのはもったいないので残しておきたい。他の人に見てもらいたいのです。

 

若者たちは、消える系SNSであるSNOWを使っても、消えることにはこだわりません。

同様に、仲間内だけで閉じたやりとりができるLINEを使っても、やりとりのキャプチャをTwitterに貼るなど、やはり見られないことにはこだわっていません。 

大人のいない空間で、仲間内で楽しいコミュニケーションができるかどうか。彼らが願っているのはそれだけなのです。

 

 

なぜ女子中高生はMixChannelでキス動画を投稿するのか?

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MixChannelでユーザー発で人気となったのが「キス動画」。
カップルで投稿するので、「カップル動画」とも言われます。

キス動画とは、その名の通りキスをしている動画のこと。ユーザー自身が流行の音楽に乗せたものを編集してアップロードします。そのほとんどは、顔がはっきり見える状態となっています。 

 

MixChannelは、PCでもスマホアプリでも見られます。

MixChannelでPCなら「LOVE」、スマホなら「カップル」カテゴリを見るか、YouTubeなどで「キス動画」と検索すると、多数のキス動画が投稿されていることに驚くでしょう。

YouTubeでは、このような動画を集めて第三者が広告料目的でアップロードしています。


危険性を理解していない子供たち


10代の子たちは、インターネットというものを正しく理解していません。
一度インターネットに投稿したものは、世界中の誰からでも見られる状態となることが分かっていないのです。

 

10代には、世界中に向けて発信したいと思っている子はあまり多くはありません。
検索対象となり鍵をかけない限りユーザー以外からも見られるTwitterも、ほぼLINEと同じ使い方をしています。
仲間内、或いは見られたいと思っている人たちにだけ見せるつもりで発信しています。
それ故、Twitterで炎上したり、MixChannelでキス動画を公開したりしてしまっているのです。

 

MixChannelはユーザー以外でも見ることができ、元々動画をダウンロードできる機能があるため、YouTubeにアップロードすることも容易です。
YouTubeにアップロードされたが最後、見知らぬ多数の人達に見られることになるにも関わらず、その危険性をまったく理解していないのです。


楽しんで投稿するも将来の不利益にも


MixChannelの場合、多くの女子中高生は「かわいい」「見るとなごむ」「こんなカップルになりたい」と非常に好意的です。
暇があると毎日見てしまうそうです。また、カップルのファンとなり、like(ハート)やコメントをつけて応援します。

 

カップルたちは、自分たちのデート写真を撮っては流行の音楽にのせて編集し、アップロードを繰り返します。
積極的なのは女の子側です。
動画の中では自分が恋愛ものの主役になれる上、他人から羨ましがられることで幸せを再確認できるためアップロードしているのです。
彼氏の浮気防止にアップロードする例もあります。
記録として日常的にキス動画を撮り、暇つぶしにアップロードするという話も聞いたことがあります。

 

学校で一人くらいはアップロードしているというくらい浸透していますが、他の人がやっているからと言って安心なわけではありません。
多くの子達は、顔が分かる状態で、しかもTwitterなどのSNSアカウントと紐付けた状態で投稿しているため、身元の特定は簡単です。
投稿した動画は永遠に残るため、将来自分の身に不利益をもたらす可能性があります。
保護者は子供がそのような利用をしていないか確認しておくべきでしょう。


SNSで知り合って会う中高生 危険にあわないためのアドバイスとは

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中高生の多くはインターネットで知り合いを作り、会っています。

会うことにはまったく抵抗がありません。

小学生でも会っている子はおり、高校生になると会う割合が一気に増えます。特に高校生女子は会うことにかなり肯定的です。

 

彼女たちは出会い系目的というわけではなく、ごく自然にSNSで知り合って会っています。

たとえば、

「ライブのチケットが手に入らなくて愚痴っていたら、チケットが余っているからとTwitterで誘われて、知らない人と一緒にライブに行ってきた」

「バンドを組みたいけどメンバーが足りないのでネット上で募集して応募者とLINEでやり取りして会った」

などの理由でごく普通の子たちが会うのです。

 

彼女たちは「ネットで知り合った人と会っても危険な目に遭ったことがない」と口を揃えて言います。

しかし、それはたまたまラッキーだっただけかもしれません。

SNS経由で出会って出会い系被害に遭っている子たちは多数います。

警察庁が調査したところ、年齢・性別・職業のいずれかを偽っていた人が4割くらいおり、

「同級生の女の子と思って会いに行ったらおじさんがいた」

というようなことが実際に起きているのです。

 

彼女たちは、元々リアルとネットの違いをあまり感じていません。

スマホネイティブ、SNSネイティブなので、どちらの付き合いでも友だちは友だちと考えます。

だから、「ネットでしかやりとりしたことないけど恋人」「会ったことはないけど親友」ということがおきてくるのです。

また彼女たちは、「ネットでやりとりすればいい人かどうかすぐに分かる」と断言します。

しかし、実際には彼女たちが騙されるケースがあります。

 

既に述べた通り、街角で聞いたらほとんどの女子高生が「ネットで知り合った人に会ったことがある」と答えるくらい、会うことが普通となっています。

以前は「ネットで知り合った人とは危険だから会ってはいけない」と言うことができました。

しかし、最近ではあまりに会うことが普通となっているので、この言葉には有効性がありません。

そこで、次のように言うことをお勧めします。

 

「ネットでは素性や本性が偽れるので、危険な可能性があるし、本当は会ってほしくはない。

けれどどうしても会うなら、次のことを約束してほしい。

 

◯一人で会いに行かない。友だちと複数で会いに行く。

◯日中、人が多い場所で会う。

◯行き先や会う人のことを告げてから行く。」

 

また、会う前にある程度相手の素性を調べておくことも大切です。

SNSの過去の書き込みは偽れないので、遡って調べておくと、実在するのかどのような人物なのかが把握できます。

SNSでのやりとりでリアルな人間関係がある場合も、実在する人物の可能性が高くなります。共通の知り合いがいたら問い合わせてみることで、相手の人となりがわかるかもしれません。

本名やフリーメール以外のメールアドレス、電話番号なども聞いておくと安心です。

お子さんへの指導の参考にしてください。 

 

akiakatsuki.hatenablog.com

 

 

 

小学館NEWSポストセブンでインスタ検索についてコメント

小学館NEWSポストセブンで、最近の若者がしているInstagram検索について、なぜ何をどのように調べているのかについてコメントしています。

けっこう便利な使い方なので、大人世代にもおすすめです。

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