ソーシャルゲームが強い日本
日本はアニメとソーシャルゲームが強いと言われています。それを実感したのがこの記事だ(http://techwave.jp/archives/51771541.html)です。「Google Play」で世界売上で日本が米国を抜いたのです。
さらに詳しく見ると、1位DeNA、2位コロプラ、3位ガンホーと、日本勢がトップ3を占めています。7位、8位にはGREEとNAVER(LINEの会社)も入っています。これが2012年11月時点での話です。
好調を示すように、GREEとMobageでのテレビCM出稿量もかなりのものでした。こちらの記事(http://news.livedoor.com/article/detail/6808170/)によると、2012年6月の商品別オンエアランキング一位はGREEということになっています。
ソーシャルゲームの勢いに陰り
ところが、2013年2月に、それまで伸び続けていたGREEとDeNAの成長がストップしたことが報じられました。それまでも時々言われてはいたが、実際に報じられた時には驚いた方も多いでしょう。(不況が言われる中で、ソーシャルゲームだけはずっと景気が良かったのに…)この理由はご存じでしょうか。
「パズル&ドラゴンズ」は昔の「モバゲータウン(Mobage)」を彷彿させる
GREEとDeNAの好調は、ソーシャルゲームプラットフォームとしての側面が強いと言われています。ところが前述のように2位のコロプラ(「コロニーな生活」)、3位のガンホー(「パズル&ドラゴンズ」)はどちらもDeNA、GREEのプラットフォームを利用していません。(更に言うとLINEのNAVERもそうです)
ガンホーなどは、昔で言う勝手サイトみたいな独立した存在なのです。パズル&ドラゴンズはサービス開始から約1年で800万ユーザーを獲得、ガンホーの株価も一年で約10倍に伸びています。
かつて携帯キャリアの公式サイトでなければ成功しないと言われていた時期がありました。ところが、DeNAのMobageはキャリアの公式サイトではなく、勝手サイトとして成功しました。つまり、携帯キャリアのプラットフォームを利用しないで成長した企業だったのです。当時は携帯電話での「検索」が一般的になりつつあり、必ずしも公式サイトにならなくても友達を招待させる仕掛けなどで拡大することができたのです。
一方の開発会社側も、ガンホーのような例が目立つと、キャリアに1割、DeNAやGREEに3割の計4割を支払うよりも、3割の手数料で済むApp StoreやGoogle Playの方がいいと感じて、徐々に移行する例が増えてくることが予想されます。
時代は巡るんだな…と感じます。最早携帯キャリアの公式サイトにあまり大きな価値はありません。同様に、プラットフォームは時代が変われば参加者に卒業されてしまう時がきます。プラットフォーム側は卒業させないよう、努力を続けるしかないのです。
かつて自分たちもたどった道とは言え、このようにプラットフォームを使わずに成功するソーシャルゲームが増えてくると、DeNAとGREEの収益は減ってしまいます。おまけに、海外への投資がうまくいかず、現状では広告宣伝費に見合う売上があげられていません。
開発会社も苦労している
一方の開発会社も苦労が続きます。
こんな記事(http://toyokeizai.net/articles/-/13690)がありました。「恋してキャバ嬢」が人気のマザーズに上場後12年5月に史上最短期間で東証一部に鞍替えしたKlabが、新作ゲーム投入の遅れ等を理由に業績見通しを大幅に下方修正、 株価を大きく下げたのです。
ソーシャルゲームが乱立しライバルが多くなり売上が上げづらくなったこと、ネイティブアプリ対応つまりスマホ対応により開発費が高騰したこと(従来は3000〜5000万円だったが現在は億単位とも)が影響しているでしょう。
順風満帆ではないが工夫次第では活路も
ソーシャルゲームと言えば何でもヒットする時代は終わりました。プラットフォームビジネスを解説した「ITプラットフォーム」の本を書きましたが、こうなってくるとプラットフォームビジネスも必ずしも安泰ではありません。
けれど、ガンホーのような例があります。開発会社は、新しいタイプの面白いゲームさえ出せば、まだまだヒットする可能性は十分にあります。日本ではまだまだアプリやゲームが売れています。
GREEやMobageは、今のプラットフォームビジネスの次を考えておくべき時かもしれません。もっと強力な仕掛けを作り、プラットフォームの寿命を長引かせるか、それとも基本に戻って自社ゲーム開発をしてヒットを飛ばすか…いずれにしても、次の手を期待しています。
プラットフォーム本と面白かったゲーミフィケーション本。