高橋暁子のソーシャルメディア教室

ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授高橋暁子のブログ。ソーシャルメディア界隈のこと、IT関連ニュースのこと等をメインに取り上げます。

小・中・高校・大学別起きやすいネット・SNSの問題の特徴と対策

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小・中・高校・大学で、起きやすいネット上・SNS上の問題は大きく異なります。
それぞれの学校別に利用との特徴と起きやすい問題点、対策について解説します。
ただし、子供の発達段階や周囲の環境などによって問題が発生する年齢が前後することがあるので、前後の年代のところもチェックしてみてください。



小学校

保護者との連絡用などに携帯端末を与えられていても、まだキッズケータイの割合が高く、スマートフォンを所持している割合は少なめです。
代わりに、ゲーム機、音楽端末プレイヤー、学習用タブレット、親の中古のスマホなどでネットに接続する割合が高くなる点が、他の年代とは違う大きな特徴です。

最近の端末は、基本的にネット接続は可能なものがほとんど。
LINEやTwitterFacebookなどのSNSが利用できるものもたくさんあります。
ネットに接続できない設定にはできますが、子供が設定変更して利用してしまい、被害に遭っているケースは少なくありません。

Wi-Fiにしか接続できない端末でも、最近は無料無線LANスポットがあふれています。
口コミで、パスワード保護されていない個人宅の無線LANにアクセスできるスポットが出回っているケースも耳にします。
家庭のWi-Fiも、パスワードを掛けていたのに子供に破られたケースも耳にします。
つまり、ネットにアクセスし放題となっているケースが多いのです。

小学生ではまだ問題は少なめですが、早いところでは中高学年からLINEを使ったいじめ問題が起きています。
ネット依存問題、スマホゲームへの高額課金問題、SNSを通じた自画撮り被害も起きています。
なお、小学生を狙う悪い大人は、上記の端末からのアクセスを小学生と判別する目安にして狙っているので、特に注意してください。

端末ごとに専用の無料フィルタリングサービス、ペアレンタルコントロールサービスがあるので必ずかけることが大切です。
小学生ではまだトラブルに対処したり、利用をコントロールするのは難しいので、危険について指導・約束事を決めて対応すると同時に、子供の利用状況(利用 サービス・アプリ、利用時間の長さ、利用時間帯、やり取りしている相手など)についてしっかりチェックしておくことが大切です。


中学校

いじめが一番多い年代であり、ネット絡み・SNS絡みのトラブルが一気に増えるのが中学生です。

ヒアリングした中では、中学校入学と同時に「LINEがやりたい」とねだられてスマホを買い与えるケースが多めです。


スマホの所持率が上がるため、SNSの利用率も上がり、LINEいじめ、ネット依存、ゲーム依存問題が増える時期でもあります。
女の子はSNSを通じた出会い系被害、男の子はハッキングや不正アクセス、犯罪予告などの違法行為が目立ちます。

中学生は保護者の言うことを聞かず、隠れて色々なことをする上、異性への興味が強くなる年代です。
自由に使わせた後で制限しようとしても、子供は絶対に言うことを聞きません。
端末を持ち始める際に、ルールを決めたり、ルールを守れなかったときのルールを定めておくといいでしょう。


高校

最近は、ほとんどの高校内で端末が自由に使えます。
この年代は、ほぼ100%スマホを所持しており、SNS利用率もほぼ100%になります(所持していない・利用していない子はクラスに1人程度です)。

最近は、電話番号やメールアドレスではなく、LINEを交換します。

クラスのLINEグループなどがあり、LINEなどを利用していないと仲間に入りづらくなります。


基本的には中学校とほぼ同じですが、バイトをするなど行動範囲が広がり、炎上事件などを起こす割合が増える時期です。
SNSで知り合った人と一番直接会っているのがこの年代、特に女子高生が最多です。
自撮り写真公開や個人情報公開、ネット上で知り合った人と会うことでのトラブルが増えるので、家庭で危険性について話し合っておくことが大切です。


大学

スマホやネット利用は当たり前となり、使いこなす段階にきています。
就職活動を始めるため、SNSに書く内容について意識し始める子が増えてきます。


一方、まったく意識せず、問題発言・写真・動画を投稿してしまい、大炎上する子がいます。
停学・退学、内定取り消しなどにつながっている例があるので、投稿内容には責任が発生することを話し合っておきましょう。

 

なお、講演などに行っても、大学生でも炎上事件などの社会事件のニュースは読んでいません。
保護者が直接事件や危険性について伝えることが確実かつ効果的です。

 

 

犯罪予告は投稿した時点で罪になる

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10代の男の子がネット絡みで起こす問題にはいくつかのパターンがある。

SNSでデマを飛ばしたり、パクツイなどに手を染めるパターン。

ハッカーになったつもりでハッキングなどの不正アクセスに手を染めるパターン。

そして、SNSなどで犯罪予告をしてしまうパターンだ。

どれも、女の子よりは男の子の方が多いように感じる。

 

なお、犯罪予告は投稿した時点で罪に問われることをご存知だろうか。

実際、多くの10代の少年少女が犯罪予告をして逮捕、或いは書類送検されている。

 

 

犯罪予告は、予告した対象や内容によって、以下の罪に問われる。

 

脅迫罪:特定の個人を脅迫した場合

威力業務妨害罪:暴力的な表現を用いて業務を妨害した場合

偽計業務妨害罪:嘘の情報等を用いて業務を妨害した場合

軽犯罪法違反:上記に当てはまらない悪戯目的の場合 

 

つまり、実際は危害を加えるつもりがなく、悪戯目的で投稿しただけでも罪に問われるということだ。

考えれば当然だが、警察は「殺す」「爆発させる」「危害を加える」などの予告を見つけた場合、万一本当の場合に備えて警備しなければならなくなる。

つまり、その時点で警察官の通常の業務を妨害していることになってしまうからだ。

 

10代による犯罪予告は、TwitterなどのSNSに投稿されることが多いようだ。

しかし、SNSは多くの人が見る場であり、投稿した時点で責任に問われることになる。

 

子供たちには、投稿した時点でどんな内容でも罪に問われること、投稿時点で12歳以上だった場合(小学生は除く)少年院に送られることもあることは伝えておきたい。

 

 

 

大丈夫?遺された家族が困る「デジタル遺産」問題 

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デジタル遺産問題をご存知でしょうか。

 インターネット上やパソコン、スマホなどにあるものを残して家族が亡くなると、後に遺された家族が困ることがあります。

 

 

オンライン・オフラインに残されたデジタル遺産

 

たとえば、ネットバンキングや株式・FXなどのオンライン証券はわかりやすいでしょう。

それだけではなく、有料サイトのアカウント、SNSアカウント、ホームページやブログなど、存在を知らない或いは知っていてもアクセスできないことによるトラブルが起きることがあります。

 

 

たとえば写真やメールアドレス、文章などもそうです。

パソコンやスマートフォンタブレットだけでなく、SDカードやUSBメモリ、外付けハードディスクなどに残されている場合もあります。

 

 

 

残された家族はどうやってデジタル遺産を探すか?

 

残された家族がデジタル遺産を探す場合、どうしたらいいのでしょうか。

たとえばパスワードなら、亡くなった家族の情報に基づいて類推したり、メモなどを探す方法があります。

お気に入り、アプリ、フォルダ、ブラウザなどもチェックすると色々なことがわかるはずです。

郵便物やクレジットカードの明細、通帳の入出金記録なども忘れずにチェックしてください。

パソコンのデータは、データサルベージを行うデジタル遺品サービスなども利用できます。

ただし、スマホのデータはキャリアでも開くことはできないので諦めるしかないようです。

 

 

 

家族を困らせないためにはどうすればいいのか

 

家族を困らせないためにはいわゆる「終活」が必要です。

たとえば、大切なパスワードや情報などをまとめておき、家族に伝えておくと安心です。

 

逆に家族に知られたくない画像やメール、アカウントなどは削除しましょう。

パソコンやスマートフォンにはパスワードをかけないか、或いは配偶者にだけは教えておくと安心です。

 

なお、Facebookはデジタル遺産管理人を指定できます。

Twitterは遺産管理人か家族が管理を要請できる仕組みがあります。

GmailYouTubeは休眠アカウントマネージャー設定が利用できます。

 

「終活」は進んでいず、終活サービスの多くはあまり使われずに終了してしまっています。

しかし、最低限だけでも家族に伝える、或いはまとめておくことで、家族はとても助かります。ぜひ特に気になるポイント、たとえばお金がらみのことなどだけでも家族に伝えておくことをお勧めします。

産経新聞で子どもへのスマホの持たせ方をアドバイス

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昨日の産経新聞朝刊「ひとごとではないスマホ被害 あなたは子供をどう守る?」というDocomoの広告記事で、子供への安全なスマホの持たせ方についてアドバイスしました。
ほぼ全面記事で、思ったより大きくてびっくりです…

中高生が合格・進学シーズンにTwitterやインスタでしていること

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合格発表が終わり、進学・進級に備えるシーズンです。

この時期中高生たちがTwitterInstagramなどでしていることを解説しましょう。

 

まず、受験本番を迎える1月2月頃には、「#合格通知」などのハッシュタグ付きで、TwitterInstagramで合格したことをフォロワーなどに報告する投稿が相次ぎます。初期は推薦入試、後期は一般入試の結果が並びます。

SNSは写真付きで投稿」が染み付いているためか、ほとんどの場合が写真付きで投稿されます。

 

「合格通知書写真をSNSで公開すると学校によっては合格取り消しになる」

という話がありましたが、もちろんデマです。

「合格通知書は個人情報の宝庫なので公開には注意して」と注意喚起している大学もあるくらいです。

見ると、一切モザイクなどもかけず、本名や学校名などが丸々写っているものもたくさんあります。

年齢、名前、学校などが分かってしまい、リスクが高くなるので注意が必要です。

 

合格後は、進学する学校で友達を作るために活動を始めます。

大抵は、進学する高校や大学専用の「高校垢」「大学垢」を作ります。

そして、「春から◯大」「◯◯大」「合格発表」などの名前やハッシュタグをつけて、進学先の高校や大学の友だちを募集します。

プロフィールに「春から◯大」などと書いている子もいます。

 

LINEの友だち追加QRコードを固定ツイートにしている子もたくさんいます。

「春から◯大です!よろしくお願いします!」

「こちらこそよろしく!」

などのやりとりでTwitterでつながっていきます。

同時に、同じ進学先の子たちを追加した数百名参加するLINEグループが作られます。

 正体を騙っているユーザーもいるはずですが、全く気にせずに彼らはどんどんつながっていきます。

 

非常にリスキーに思えますが、この時のつながりはとても大切なようです。

中には、入学式前にオフ会的に実際に会っている子たちもいます。

進学してすぐに、

「いつもTwitterではどうも」

などとSNSのつながりで友達が作られていくのです。

SNSで事前に情報を得ているので、自分が合いそうな人たちが分かり、つながりやすくなっているのです。

地方から出てくる子などは、情報が得られてメリットが大きいようです。

 

事前につながることはメリットもありますが、個人情報などの観点から非常に危険も大きいので、注意が必要です。

 

 

SNS時代のデマに騙されないリテラシーの身につけ方

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米国の大統領選で候補者の偽ニュースがFacebookで拡散され、選挙結果に影響を与えたと言われています。

また、DeNAの「WELQ」や「MERY」などで、SEO対策をしただけのいい加減な情報が検索上位に表示されていました。

このような事態が続いて、今は偽ニュースやデマに騙されないリテラシーを身につけることに注目が集まっています。

大手メディアでもいい加減な情報が掲載されていることがあり、インターネットで調べ物をするのが怖くなった人は多いでしょう。

 

しかし、これは今に始まったことでありません。

インターネットだけで正しい結果にたどり着くことは正直現時点では至難の業です。

Wikipediaなどのサイトは便利ですが、正しい情報ばかりではなく、いい加減なことが多いことはよく知られています。

 

入念なSEO対策さえすれば、検索結果も汚染できることがわかりました。

 

元々検索エンジンは、自社の考えるアルゴリズムにより、有用性が高いと思われる記事を上位に表示しているだけで、正確性は保証されていません。

 

 

基本的には、検索した場合は、情報元が信頼できるかどうかで情報の真贋を判断するのがいいでしょう。

かつて、「省庁などの公的機関の情報のみ無条件に信じていい。少なくとも国が保証している情報だから」と言われました。

「go.jp」と検索したいことをand検索すると、公的機関が出している情報にたどり着けます。

 

また、新聞社などの大手メディアの情報も、たまに誤報もありますが基本的には信用していいと考えます。

取材をしているはずですし、少なくとも「大手メディアが言っていた」とは言えるので、信憑性がかなり高くなります。

メディアによってはいい加減な情報しか載せていないところもあるので、メディアの見極めも大切です。

 

また、複数の情報元に当たることも大切です。

SNS上でソースが一つしかなかったら、眉唾の可能性が高くなります。

ただし一つのデマ情報を複数のまとめサイトが掲載しているなどの場合は、まったく当てにはなりません。

複数のメディア或いは人物などが違う言葉で同じことを言っていたら、事実の可能性が高くなります。

 

しかし、最終的にはあくまでインターネットで得られる情報は参考程度にしておいた方がいいかもしれません。

特に病気を見極めるなどは専門家に任せるべきで、素人が判断できることではありません。

 

 

特に若い子たちは、正しい情報を見極められていないという調査結果があります。

大人でもデマに騙されているので仕方ないことですが、これがデマ拡散に拍車をかけています。

SNS時代には、多くの人が言っているからといって正しいと言えないことが多いので、特に注意が必要です。

情報を見極められる情報リテラシーを身につけられるよう、見守ってあげたいところです。

 

NHK「オトナへノベル」書籍でアドバイスコラムを寄稿しています

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番組監修し、篠田麻里子さんや清水富美加さんと共演もしたNHK「オトナヘノベル」が書籍化しました!

実は、ドラマは小説化されており、ホームページで読めたのです。

私も監修した話、4話分にアドバイスコラムを寄せています。
参考になる話ばかりなので、ぜひご覧ください!