高橋暁子のソーシャルメディア教室

ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授高橋暁子のブログ。ソーシャルメディア界隈のこと、IT関連ニュースのこと等をメインに取り上げます。

ハッシュタグでつながる10代/ハッシュタグの3パターンとは

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 10代は大人世代よりもハッシュタグを多用します。
ハッシュタグは、彼らが大好きなTwitter・LINE・Instagramの他、Facebookなどでも使われます。
ハッシュタグがないMixChannelなどではタグが用意されています。

10代はハッシュタグに非常に慣れているだけでなく、3つの目的を持って使いこなしています。
ハッシュタグには主に3つのパターンがあります。
検索される用、つながる用、コミュニケーション用です。

 



ハッシュタグの3つのパターン

3つのパターンそれぞれの使い方について解説します。

検索されるためは、Instagramが典型的です。
露出を増やし、少しでも多くの人に見てもらい、「いいね」やコメントをもらって自己承認欲求を満たしたいと考えます。

つながりたい系ハッシュタグは、「#〜な人と繋がりたい」などが典型的です。
10代は特に、他人とつながりたいというニーズを強く持っています。
Twitterでフォローしたりされたり、LINEでつながったりしたいので、共通項がある人を募集するのです。

コミュニケーション用は、「言い訳ハッシュタグ」や「#らぶりつください」「#〜な人RT」などが典型的です。
言い訳ハッシュタグは、仲間内とのコミュニケーションのため、検索は一切無視してつけるものです。
一方、「#らぶりつください」などは主に承認欲求・自己顕示欲を満たすためにつけます。

つまり、10代は承認欲求や自己顕示欲を満たし、人間関係を広げたりつながりを強くするためにSNSを使う傾向が強いのです。
SNSで「暇」「暇つぶし」と投稿しているのは10代がほとんどです。
可処分時間が余っており、まだ何者でもないため承認欲求や自己顕示欲が強いのが10代なのです。

 

なぜ女子高生はセクスティングをするのか?リベンジポルノの危険も

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セクスティングとは何か?

 

「セクスティング」とは、性的なメッセージや写真などを携帯電話・スマートフォン宛てに送ることです。

ある調査によると、ティーン男女、ヤングアダルト男女の2〜3割が「経験あり」と回答しており、中には「インターネット上でのみ知っている相手に送信した」と答えています。

 

恋人に請われて断れずに送ってしまう子も多く、後で後悔している例は少なくないようです。

フェアな人間関係を築くためには、嫌なことは断ったり自分の気持ちを正しく伝えることも大切ですが、まだそのようなことができない子が多いのです。

 

インターネット上で出会いを求め、相手に褒められて嬉しくなって送ってしまう例もあります。

好奇心や安易な自己承認欲求、自己顕示欲などからこのような行動に走ってしまっているというわけです。

近年の小学生などが「自画撮り被害」に遭っている例も、ほぼ同じ理由からです。

 

送った結果、別れた後に元恋人にインターネット上に写真を公開されてしまうリベンジポルノ被害や、「友人に写真をばらまく」と脅迫される被害も起きています。

 

 

撮らない・信用している相手にも送らないが大切

 

裸の写真などを送る時は、相手のことを信用しているはずです。しかし、関係性は変わることがあります。

いくら信用している相手にも、自分が不利益を被るような写真などは撮らない・送らないことが大切です。

 

また故意にではなくても、端末を落としてしまったり、ウイルスなどに感染して写真が流出した例もあります。

ハリウッド女優がiCloud上にアップロードしていたセルフヌード写真が流出した事件もあります。これは、フィッシング詐欺によるものと報道されました。

 

このような不本意な被害を避けるためには、そもそも撮らない・送信しないしか方法はありません。

裸の写真が流出して引きこもりになった女性もいます。

特に若い世代にはこの危険性を伝えてあげてください。

 

 

スマホネイティブ・SNSネイティブということ

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10代と大人世代は断絶している

大人に「子供(10代)のことがわからないから教えてほしい」と言われることが多い。
保護者・教員からは理解できないけれど守りたい存在を守るために。
企業からは未来の消費者を少しでも理解するために。
私は、取材を通して知った彼らのことを、記事や講演、メディアで伝えている。

なぜ10代を知りたいということがニーズとなるのか。
それは、10代の文化と大人の文化が断絶しており、連続性がないためだろう。
スマホSNS世代と大人世代は生きているところがまったく異なり、文化的交流がほとんどないのだ。


10代はSNSでも大人がいないところに向かうので、同じ土壌でコミュニケーションできる瞬間があまりない。利用アプリやサービスから異なることが多いのだ。

なお、私の10代系の連載で一番古い「10代のネット利用を追う」はもう連載10年目となる。

その頃の10代は携帯電話文化の中で暮らしており、パソコンから見ることが難しいのでやはり大人との断絶は深かった。

 


コミュニケーションはツールで変わる

コミュニケーションはコミュニケーションツールによるところが大きい。
大人世代でも、パソコン世代と手紙・固定電話世代は、まったく常識が異なることを感じたことはないだろうか。
まして、スマートフォンネイティブ、ソーシャルメディアネイティブはまったく感覚も常識も異なっている。

スマートフォンはいつでもどこでもネットにアクセスでき、SNSと親和性が高いのでSNSの利用度が高くなる。
また、カメラがついているので、写真や動画に対して非常に親しんでおり、抵抗がない。

同時に、ソーシャルメディアによっていつでもどこでも友だちや知らない人とつながっているので、交流も大きく変化している。
四六時中他人からの評価にさらされているので、いつも他人の目を意識して生活している。
ソーシャルメディア上での自分の見せ方がうまくなると同時に、見られること前提の行動をする。
文章による自己表現から、写真・動画による自己表現に完全に移行している。
知らない人と接することが当たり前となり、知らない人と会うことに抵抗がない。


今も昔も変わらない10代の心

しかし、取材を通して感じるのは、ツールの使い方や行動は大きく異るものの、感じ方はむしろそれほど違わないということだ。
たとえば勉強垢を見れば、夢を持って努力していることは変わらないことがわかる。
裏垢を見れば、いつの時代でも10代の悩みはそれほど変わらないことがわかる。

使い方や行動の裏側には必ず理由がある。それも、彼らにとっては正当な理由だ。
そういう目で10代の子どもたちを見るようにすることで、きっと保護者や企業も10代の子供たちのことを理解できるようになるのではと考えている。
もっとうまく橋渡しをできるようになりたいと考えている。

 

小・中・高校・大学別起きやすいネット・SNSの問題の特徴と対策

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小・中・高校・大学で、起きやすいネット上・SNS上の問題は大きく異なります。
それぞれの学校別に利用との特徴と起きやすい問題点、対策について解説します。
ただし、子供の発達段階や周囲の環境などによって問題が発生する年齢が前後することがあるので、前後の年代のところもチェックしてみてください。



小学校

保護者との連絡用などに携帯端末を与えられていても、まだキッズケータイの割合が高く、スマートフォンを所持している割合は少なめです。
代わりに、ゲーム機、音楽端末プレイヤー、学習用タブレット、親の中古のスマホなどでネットに接続する割合が高くなる点が、他の年代とは違う大きな特徴です。

最近の端末は、基本的にネット接続は可能なものがほとんど。
LINEやTwitterFacebookなどのSNSが利用できるものもたくさんあります。
ネットに接続できない設定にはできますが、子供が設定変更して利用してしまい、被害に遭っているケースは少なくありません。

Wi-Fiにしか接続できない端末でも、最近は無料無線LANスポットがあふれています。
口コミで、パスワード保護されていない個人宅の無線LANにアクセスできるスポットが出回っているケースも耳にします。
家庭のWi-Fiも、パスワードを掛けていたのに子供に破られたケースも耳にします。
つまり、ネットにアクセスし放題となっているケースが多いのです。

小学生ではまだ問題は少なめですが、早いところでは中高学年からLINEを使ったいじめ問題が起きています。
ネット依存問題、スマホゲームへの高額課金問題、SNSを通じた自画撮り被害も起きています。
なお、小学生を狙う悪い大人は、上記の端末からのアクセスを小学生と判別する目安にして狙っているので、特に注意してください。

端末ごとに専用の無料フィルタリングサービス、ペアレンタルコントロールサービスがあるので必ずかけることが大切です。
小学生ではまだトラブルに対処したり、利用をコントロールするのは難しいので、危険について指導・約束事を決めて対応すると同時に、子供の利用状況(利用 サービス・アプリ、利用時間の長さ、利用時間帯、やり取りしている相手など)についてしっかりチェックしておくことが大切です。


中学校

いじめが一番多い年代であり、ネット絡み・SNS絡みのトラブルが一気に増えるのが中学生です。

ヒアリングした中では、中学校入学と同時に「LINEがやりたい」とねだられてスマホを買い与えるケースが多めです。


スマホの所持率が上がるため、SNSの利用率も上がり、LINEいじめ、ネット依存、ゲーム依存問題が増える時期でもあります。
女の子はSNSを通じた出会い系被害、男の子はハッキングや不正アクセス、犯罪予告などの違法行為が目立ちます。

中学生は保護者の言うことを聞かず、隠れて色々なことをする上、異性への興味が強くなる年代です。
自由に使わせた後で制限しようとしても、子供は絶対に言うことを聞きません。
端末を持ち始める際に、ルールを決めたり、ルールを守れなかったときのルールを定めておくといいでしょう。


高校

最近は、ほとんどの高校内で端末が自由に使えます。
この年代は、ほぼ100%スマホを所持しており、SNS利用率もほぼ100%になります(所持していない・利用していない子はクラスに1人程度です)。

最近は、電話番号やメールアドレスではなく、LINEを交換します。

クラスのLINEグループなどがあり、LINEなどを利用していないと仲間に入りづらくなります。


基本的には中学校とほぼ同じですが、バイトをするなど行動範囲が広がり、炎上事件などを起こす割合が増える時期です。
SNSで知り合った人と一番直接会っているのがこの年代、特に女子高生が最多です。
自撮り写真公開や個人情報公開、ネット上で知り合った人と会うことでのトラブルが増えるので、家庭で危険性について話し合っておくことが大切です。


大学

スマホやネット利用は当たり前となり、使いこなす段階にきています。
就職活動を始めるため、SNSに書く内容について意識し始める子が増えてきます。


一方、まったく意識せず、問題発言・写真・動画を投稿してしまい、大炎上する子がいます。
停学・退学、内定取り消しなどにつながっている例があるので、投稿内容には責任が発生することを話し合っておきましょう。

 

なお、講演などに行っても、大学生でも炎上事件などの社会事件のニュースは読んでいません。
保護者が直接事件や危険性について伝えることが確実かつ効果的です。

 

 

犯罪予告は投稿した時点で罪になる

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10代の男の子がネット絡みで起こす問題にはいくつかのパターンがある。

SNSでデマを飛ばしたり、パクツイなどに手を染めるパターン。

ハッカーになったつもりでハッキングなどの不正アクセスに手を染めるパターン。

そして、SNSなどで犯罪予告をしてしまうパターンだ。

どれも、女の子よりは男の子の方が多いように感じる。

 

なお、犯罪予告は投稿した時点で罪に問われることをご存知だろうか。

実際、多くの10代の少年少女が犯罪予告をして逮捕、或いは書類送検されている。

 

 

犯罪予告は、予告した対象や内容によって、以下の罪に問われる。

 

脅迫罪:特定の個人を脅迫した場合

威力業務妨害罪:暴力的な表現を用いて業務を妨害した場合

偽計業務妨害罪:嘘の情報等を用いて業務を妨害した場合

軽犯罪法違反:上記に当てはまらない悪戯目的の場合 

 

つまり、実際は危害を加えるつもりがなく、悪戯目的で投稿しただけでも罪に問われるということだ。

考えれば当然だが、警察は「殺す」「爆発させる」「危害を加える」などの予告を見つけた場合、万一本当の場合に備えて警備しなければならなくなる。

つまり、その時点で警察官の通常の業務を妨害していることになってしまうからだ。

 

10代による犯罪予告は、TwitterなどのSNSに投稿されることが多いようだ。

しかし、SNSは多くの人が見る場であり、投稿した時点で責任に問われることになる。

 

子供たちには、投稿した時点でどんな内容でも罪に問われること、投稿時点で12歳以上だった場合(小学生は除く)少年院に送られることもあることは伝えておきたい。

 

 

 

大丈夫?遺された家族が困る「デジタル遺産」問題 

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デジタル遺産問題をご存知でしょうか。

 インターネット上やパソコン、スマホなどにあるものを残して家族が亡くなると、後に遺された家族が困ることがあります。

 

 

オンライン・オフラインに残されたデジタル遺産

 

たとえば、ネットバンキングや株式・FXなどのオンライン証券はわかりやすいでしょう。

それだけではなく、有料サイトのアカウント、SNSアカウント、ホームページやブログなど、存在を知らない或いは知っていてもアクセスできないことによるトラブルが起きることがあります。

 

 

たとえば写真やメールアドレス、文章などもそうです。

パソコンやスマートフォンタブレットだけでなく、SDカードやUSBメモリ、外付けハードディスクなどに残されている場合もあります。

 

 

 

残された家族はどうやってデジタル遺産を探すか?

 

残された家族がデジタル遺産を探す場合、どうしたらいいのでしょうか。

たとえばパスワードなら、亡くなった家族の情報に基づいて類推したり、メモなどを探す方法があります。

お気に入り、アプリ、フォルダ、ブラウザなどもチェックすると色々なことがわかるはずです。

郵便物やクレジットカードの明細、通帳の入出金記録なども忘れずにチェックしてください。

パソコンのデータは、データサルベージを行うデジタル遺品サービスなども利用できます。

ただし、スマホのデータはキャリアでも開くことはできないので諦めるしかないようです。

 

 

 

家族を困らせないためにはどうすればいいのか

 

家族を困らせないためにはいわゆる「終活」が必要です。

たとえば、大切なパスワードや情報などをまとめておき、家族に伝えておくと安心です。

 

逆に家族に知られたくない画像やメール、アカウントなどは削除しましょう。

パソコンやスマートフォンにはパスワードをかけないか、或いは配偶者にだけは教えておくと安心です。

 

なお、Facebookはデジタル遺産管理人を指定できます。

Twitterは遺産管理人か家族が管理を要請できる仕組みがあります。

GmailYouTubeは休眠アカウントマネージャー設定が利用できます。

 

「終活」は進んでいず、終活サービスの多くはあまり使われずに終了してしまっています。

しかし、最低限だけでも家族に伝える、或いはまとめておくことで、家族はとても助かります。ぜひ特に気になるポイント、たとえばお金がらみのことなどだけでも家族に伝えておくことをお勧めします。

産経新聞で子どもへのスマホの持たせ方をアドバイス

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昨日の産経新聞朝刊「ひとごとではないスマホ被害 あなたは子供をどう守る?」というDocomoの広告記事で、子供への安全なスマホの持たせ方についてアドバイスしました。
ほぼ全面記事で、思ったより大きくてびっくりです…