高橋暁子のソーシャルメディア教室

ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授高橋暁子のブログ。ソーシャルメディア界隈のこと、IT関連ニュースのこと等をメインに取り上げます。

「Yahoo!ショッピング」EC手数料無料化、「ヤフオク!」出店料無料化の訳

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なんとYahoo!は、「Yahoo!ショッピング」の毎月の出店料や売上ロイヤルティを無料化、「ヤフオク!」のストア出店料や個人の出品手数料などを無料化します。

 

これまでは、初期費用や月額利用料などの「出店料」、売れる度に入ってくる「売上手数料」、自社のページへの集客に使う「広告料」などで収益を得るビジネスモデルでした。

なぜこれをみすみす捨ててしまうのでしょうか?

 

ところで、モール系では楽天が圧倒的力を持っています。

最早ほとんどすべての日本人が楽天にアカウントを作っており、何かを買いたい時には楽天に行くという人も多いでしょう。ユーザーにとっては、実際に買い物をする際に楽天の会員情報が利用できるので、改めて住所やクレジットカード情報などを入力する手間が省けて効率的です。

圧倒的集客力を持つため、ECショップは最早出店料や売上手数料を払っても、楽天に出店するしかなかったのです。

 

そのあたりのことは、こちらの書籍で詳しく説明しています。書籍では「テナントモデル」としており、販売するのは参加企業側となります。ソーシャルゲームプラットフォームであるGREEやMobageなどもこちらに該当します。

 

 

現在は、Amazonがこれを追っています。

元々は楽天は「テナントモデル」であり、Amazonは販売するのも自社で行う「手数料モデル」でした。Amazonは今でも多くを自社で販売してはいますが、今や東急ハンズビックカメラなども出店しており、楽天に近づいてきているのです。

 

Yahoo!ショッピングは、この二社に比べると集客力、ブランド力で正直落ちる。今からこれをひっくり返すためには、「無料」というくらいの圧倒的なインパクトがなければいけないという判断だったのでしょう。

 

こちらで出店料や販売手数料の各社比較がありますが、なかなかの金額です。これがすべて無料というインパクトはかなり大きい。

出店者にとっては、「とりあえずYahoo!にも出店しよう」と思わせるだけの力があるでしょう。

http://toshiyukis4.net/2013/10/07/yahooshopping-free/

 

出店料などの〇〇億円(2桁とも)の収益は減っても、間違いなく出店する店舗は増えます。

そこで、残った集客のための広告が生きてくるのです。出店料は減っても、出店する店舗が増えるので、広告収入は間違いなく増えます。実際孫さんも、今後は「広告収入」にビジネスモデルを転換すると言っています。

上記のような金額をすぐに広告だけで補えるとは思えませんが、このインパクトの与える影響は途方もなく大きいはずです。今後、EC業界で出店料や販売手数料の見直しなど、ビジネスモデルの見直しが余儀なくされます。

 

「無料」のインパクトで出店する店舗を数集め、広告料でまかなうビジネスモデル。それによって業界トップも狙えるかも…というのは大変大胆で興味深いです。

いずれにしろ、出店する店舗にとっては損はまったくありません。すぐに楽天やAmazonから抜けることはないでしょうが、Yahoo!への出店も視野に入れてはいかがでしょうか。

 

 

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20131007_618486.html

http://pr.yahoo.co.jp/release/2013/1007a.html

http://d.hatena.ne.jp/neriu/20131007/p1