高橋暁子のソーシャルメディア教室

ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授高橋暁子のブログ。ソーシャルメディア界隈のこと、IT関連ニュースのこと等をメインに取り上げます。

ストーカー規制法改正と被害に遭わないSNSの使い方

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1月に、ストーカー規制法が改正されました。

それにより、SNSのつきまといも新たに規制対象となりました。

 

 

SNSでのつきまとい行為も規制対象に

 

改正前は、現実のつきまとい行為、電話、メールやFAXをしつこく送ることのみが規制対象でした。

ところが、現実は若者間で、電話、ましてやFAXなどはまず使われていません。

コミュニケーションの中心は、言うまでもなくSNS

当然トラブルもSNS上で起こっているのに、法が追いついていなかったのです。

 

2016年5月に小金井市でミュージシャンの女性がファンにしつこくTwitterで付きまとわれた挙句、刺された事件がありました。

最近、被告の懲役は立川地裁により14年6月と言い渡されました。

この事件が、改正のきっかけとなっています。

 

元々、ストーカー規制法自体も1999年に起きた桶川ストーカー殺人事件をきっかけに制定されています。

子どものネット利用安全対策もそうですが、現実に法が追いついていかないと、被害は広がるだけです。

このようなひどいことが起きる前に、改正してほしかったと心から思います。

 

 

法が改正された意味は大きい

 

なお、法が改正される意味はとても大きいものです。

これまではSNSでしつこくするだけでは警察が動きづらかったのですが、動きやすくなります。

 

また、被害者が告訴しなくても起訴できる非親告罪になったことも大きいでしょう。

これまで、被害者は加害者の報復を恐れて告訴できないということがありました。

ところが、これで簡単に罪に問えるようになったのです。

 

また、緊急の場合は事前の警告なしに都道府県の公安委員会が加害者に禁止命令が出せるようになりました。

被害が加えられる前に動けるスピード感は大切です。

もちろん、罰則も強化されたことにも意義があります。

 

 

SNSだけでコミュニケーションをとらず個人情報は出しすぎないこと

 

残念ながら、SNSによって多くの人が様々な個人情報をばらまきまくっています。

それによって、名前や学校・勤務先、交友関係、自宅の場所、いつどこにいるかなども簡単にわかってしまい、ストーカーしやすくなっています。

実際に、今回のようなファンがいる仕事をしている女性以外でも、普通の女子中高生の多くがストーカー被害にあっています。

 

このような被害を防ぐためには、なるべく個人情報を出さないことです。

学校名、自宅の場所、居場所などを特定できないよう、固有名詞や写真などはあまり投稿しないか、公開範囲を制限するのがお勧めです。

 

元々、SNSなどのネットでは、お互いの距離感がわかりづらくなるものです。

会ったこともないのに、お互いに理解し合っている、愛し合っていると思っている人たちも多くいます。

片方だけがエスカレートすると、今回のようなストーカー被害につながりやすくなります。

 

その点を注意して、なるべくSNSなどのネット上だけで済まさず、直接のコミュニケーションを重視するようにしましょう。

また、異性とはネット上で相手に誤解させるような行為(二人だけで親密なメッセージのやりとりをするなど)はなるべくつつしんだ方が無難かもしれません。

 

もしストーカーまがいのことをされても、SNS上でのブロックは相手に大きなダメージを与える可能性が大きいのでしないほうがいいでしょう。

そして、警察などに相談するようにしてください。

 

 

 

SNSの流行とこれから〜mixiからLINE、SNOWまで

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時々SNSの流行とこれからについて聞かれるので、まとめました。

 

 

人がSNSに求める目的

 

人と人のつながりは、色々なパターンがあります。

付き合いを広げたい。男女交際もここに入ります。

趣味関心で交流したい。

知り合いとコミュニケーションを楽しみたい。

自分をもっと知って認めてほしい。 主にこのような理由が大きいようです。

人とつながりたいという欲求は、ほとんど人の本能のようです。

 

 

SNSの栄枯盛衰の歴史

 

日本におけるSNSは、2004年スタートのmixiを抜きには語れません。

その前にOrkutGREEもありましたが、mixiが一番日本人のその時の感覚にぴったりでした。

当時運営会社イー・マーキュリーは小さなベンチャー会社でした。

しかし、先行者利益を持ってSNS界で君臨し、上場を果たします。

 

mixiは、日記という文章中心で交流ができるサービスでした。

しかも検索対象とはならず、招待制で、匿名で使うことができました。

インターネットは怖いと感じる多くの人が、これで安心感を覚え、mixi内で表現するようになります。

おまけにそこには「足あと」があり、つながっている感を強烈に感じることができました。

この体験と土台があったからこそ、続く他のSNSも受け入れられたのではないかと考えます。

mixiの凋落は、足あとというつながりを感じられる機能を捨てたせいもありますが、スマホ最適化が遅れたためが一番大きいでしょう。

スマホによって画像・動画を楽しめる環境になったユーザーの希望を、mixiでは活かしきれなかったのです。

 

2007年ころから、Twitterブームが起きます。

リアルタイム性が感じられ、直接の知り合い同士でなくても交流できました。

コミュニケーションは、長文ではなく、140文字以内という短文に移行していきます。

 

次に、2010年ころからFacebookブームが起きます。

実名制で顔写真を登録するFacebookが日本にきた当初、「日本人には合わない」と考える人がほとんどでした。

しかし、「Facebookはビジネスで使える」を切り口として、世界一のSNSとして浸透していきます。

「いいね」だけでコミュニケーションできるスタイルは非常に新しく、時代にフィットしており、他の多くのSNSにも取り入れられました。

 

続いて登場したのがLINEです。

LINEもスタンプだけでもコミュニケーションでき、短文でリアルタイムにチャットのようにやりとりされるところが受け入れられました。

 

さらに近年、並行して画像SNSであるInstagramの流行、SnapchatやSNOWなどに代表されるエフェメラル系SNSが流行します。

動画配信サービスも一気に普及しました。

 

つまり、コミュニケーションは、

 

長文→短文→「いいね」やスタンプ、写真、動画

 

と、より感覚的でリアルタイム性が高くライトになってきているのです。

この流れは現在のところ加速しつつあります。

同時に、SNS疲れによって、人間関係がライトであまり疲れにくいものが歓迎されるようになってきています。

LINEはコミュニケーションインフラとなったので使われ続けるでしょうが、この部分は逆行していると言えそうです。

 

 

人と人がつながりたい欲求を満たすサービス

 

SNSの利用者の年齢層は広がり続けており、低年齢から高齢者まで幅広く利用しています。

特に10代の子たちにおけるSNSへの傾倒ぶりは極端です。

友人が一番大切な世代であるのに加えて、自分で自由に使えるネット接続端末を持ち、まだ何者でもない故の自己承認欲求が暴走しているためでしょう。

 

SNSは、人と人とをつなげるサービスです。

人の人とつながりたい欲求は非常に強いことを感じます。

SNSという形を取らなくなったとしても、少なくともSNS的要素はなくならないでしょう。

 

 

 

ゲーム機・タブレットに注意!小学生のネット・SNS利用事情

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小学生や小学生保護者を対象に講演する際、校長先生たちが口を揃えて言うことがあります。
スマホSNSに関するトラブルは中学生で一気に増えます。
中学進学に合わせてスマホを購入する例が多いため、問題も増える傾向にあるのです。

しかし、小学校なら問題がないかというと、小学校はまた違う独特の問題が起きる傾向にあります。
今回は、小学生に特有のネット・SNS事情について解説します。

 


ゲーム機、タブレット、音楽プレイヤーに注意

小学生でスマホを買い与えられている例は、さすがにまだ多くありません。
しかし、ネット接続端末は多くの子が自由に使える状況です。
彼らがインターネットを利用するのは、ゲーム端末、学習用タブレット、音楽プレイヤー端末(ウォークマンiPod touchなど)、保護者の古いスマートフォンなどです。

一部の専用学習用タブレットなどを除けば、通信できたりダウンロードできる機器のほとんどは、インターネットが使えます。
そして、その多くはSNSアプリも用意されているのです。
LINEこそ使えなくても、TwitterYouTubeなどは使えるというものがほとんどです。
また、iPadなどを学習用タブレットとして利用する場合、制限はできるものの、設定変更すればインターネットにアクセスできてしまいます。

以前、保護者の方に、
「小学生の子供に『LINEを買いたいからスマホを買って』と言われたけれど、危ないからと断った。
その後、『ウォークマンがほしい』と言われたので、ウォークマンならいいかと思って買った。
気づいたら子供がウォークマンでLINEをやっていた。どうしたらいいか」
と聞かれたことがあります。

今時のウォークマンAndroid端末であり、SNSアプリをダウンロードできます。
子供に端末を与える場合は、その端末では一体何ができるのかを確認した上で与えるようにしてください。

 


Wi-Fiしか使えないから大丈夫」は間違い

Wi-Fiしか使えない端末だし、家のWi-Fiのパスワードは教えてないから大丈夫」
と安心している保護者が多いのですが、これも間違いです。

パスワードは家族なら類推できることが多いものです。
実際、私の知り合いの家庭では、子供にパスワードを破られたそうです。

パスワードを破らなくても、今は無料の無線LANスポットがたくさんあります。
子供が、セブンイレブンマクドナルド、パスワードをかけていない家庭のWi-Fiを使ってアクセスする例は跡を絶ちません。

 

 

専用のフィルタリングをかけよう

ゲーム機、タブレット、音楽プレイヤー端末などにも、そのほとんどは専用のフィルタリングサービスが用意されています。
また、ペアレンタルコントロールでインターネットに接続できない設定にすることもできます。
特に小学生に利用させる場合は、必ずこれらの設定をしておく必要があるでしょう。

ただし、被害に遭った子供の家庭では無策だったかというと、そうではありません。
家庭ではインターネットに接続できない設定にしていたのに、子供が勝手に設定変更してアクセスして被害に遭っている例は少なくないのです。

フィルタリングサービスやペアレンタルコントロールサービスなどを利用すると同時に、子供にネットに潜む危険性について教え、利用を見守っていく必要があるでしょう。
 

 

子供にスマホを使わせる時に決めたい8つのルール

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保護者を対象として、スマホSNSの安心・安全をテーマとした講演をよく依頼されます。

その際に例としてお話している、子どもにスマホを使わせる際に決めたいルール例をご紹介します。

以下を参考に、子供の年齢や発達段階などに応じて決めていただければ嬉しいです。

 

なお、ルールを決めるのはスマホを持ち始めた時に限ります。

一度自由に利用し始めた子供に途中からルールを押し付けても聞き入れないので、ご注意ください。

 

 

1:利用時間帯を決める

「夜は9時/10時まで」 「一日◯時間以内」 「夜間は居間で充電する/夜は自分の部屋に持ち込まない」 などのルールを決めましょう。

スマホ依存や結果としての睡眠不足などを防ぐために効果があります。

子供には、友達に対して「夜は9時/10時までしかスマホが使えないから、LINEの返事は翌朝以降になる」と伝えさせましょう。

 

2:利用禁止場所・場面を決める

「食事時・学校・歩きながら・学習時間は使わない」など。

なお、子供に食事時に使わせたくないなら、保護者も食事時は使わないようにしてください。 保護者だけ使っておきながら子供だけに禁止するのは逆効果です。

 

3:書いていけないことを約束する

以前ご紹介しましたが、他人が不快に思うことや個人情報などは書かないことを約束させましょう。

これによってネットいじめやストーカー被害などが防げます。

裸の写真は撮らない・送らないことで出会い系被害なども防げます。

 

4:フィルタリングサービスを利用する

フィルタリングサービスは、利用を不自由にするものではなく、「うっかり危険なサイトにアクセスすることから守ってくれるもの」です。

特に年齢が低い場合は、フィルタリングサービス利用を約束させましょう。

フィルタリングサービスは無料で、しかもLINEなどは同時に利用できます。

 

5:ネットで知り合った人と会わない

子どもたちはSNSを通じて知り合った相手に気軽に会いに行きます。

低年齢の子供の場合は、ネットで知り合った相手と会うことは危険が伴うことを教え、会いに行かないことを約束させましょう。

ただし、中高生になるとこのルールは通用しなくなるかもしれません。 隠れて会われると危険がさらに拡大するので、その場合は以下のようにルールを変えてください。

「危険なことがあるので、ネットで知り合った人とは会ってほしくない。 しかしそれでもどうしても会う場合は、以下の約束を守ってほしい。

◯誰といつどこで会うのか言ってから行く

◯一人ではなく友達と複数で会いに行く

◯人が多い場所で日中に会う」

 

6:アプリのインストール・課金ルールを決める

子供はデータ通信について理解していません。

子供が好む動画や音楽の視聴、アプリのインストールなどはデータ通信量がかさむことを教え、そのようなことは必ずWi-Fiを使うように教えま しょう。

課金やアプリのインストールを許可制にするのもいいでしょう。

一定額以上使ってしまったら、超えた分は子供がお小遣いから支払うことにすると、使いすぎを防げるでしょう。

 

7:ルールを守れなかったときの約束事を決める

「ルールを守れなかったときは保護者が一日スマホを預かる」など、守れなかったときのルールを決めておくといいでしょう。

 

8:困ったことや悩みがあったら相談する

スマホに関して困ったことや悩みがあったら保護者に相談するように伝えましょう。

一番大切なのは、子供がスマホ利用において危険に巻き込まれないことです。

「本当に困ったら絶対に味方をする。スマホを取り上げたりはしないから絶対に相談して」と伝えてください。

 

相談しづらいことがある場合に備えて、相談機関について教えてあげておくのもいいでしょう。

 

またとても大切なことですが、子供の年齢や状況が変わると利用の仕方も変わります。

それに応じて、随時話し合いの上、ルールの見直しをするようにしてください。

見直し時に危険やはずせないルールについて再確認するといいでしょう。

 

 

北海道文化放送のニュースで電話出演しました

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2月15日、北海道文化放送「みんなのテレビ」の「みんなのニュース」コーナーで、「今の女子高生のSNS事情とは?」というテーマで電話出演しました。

今、以下のYahoo!で記事と動画が見られます。写真とコメントだけですが二箇所ほど出ているみたいです。よかったら御覧くださいね!

headlines.yahoo.co.jp